クロスボーダー・ファンド業界では、世界をリードするファンド拠点になるという香港の野望はよく知られています。2016年には、香港とスイスが互いの市場での登録ファンドの自由な販売に合意したことで、大きなマイルストーンが達成されました。これは香港にとって中国本土以外の地域との初めての正式な協定であり、アジアと欧州の間の最初のファンド・パスポートです。今年は2つの新構想が実施に移される見通しで、それはファンド拠点としての香港の魅力をさらに高めるはずです。

 

オープンエンド型ファンド会社が始動

従来、香港ではオープンエンド型ミューチュアル・ファンドはユニット・トラストとしてしか設定できませんでした。ところが今年、香港証券先物委員会(SFC)はオープンエンド型ファンド会社(OFC)を新たなファンド形態として認可する計画です。OFCは会社型ファンド・ビークルであり、アイルランドやルクセンブルクなど他の世界的なクロスボーダー拠点で一般的に利用されているファンド形態に近いものです。会社型のファンド形態は、ユニット・トラストが存在しない地域への販売がより容易であることから、国境を越えた販売にとって望ましいファンド・ビークルです。また、会社型ファンド・ビークルはユニット・トラスト形態では受けられないような原投資に対する二重課税防止条約の恩恵を享受できるため、投資家にとってより魅力的になります。

 

会社型ファンド・ビークルの採用は香港に限られていません。シンガポールとオーストラリアでも同様の構想が進行中です。両国はアジアの有力なクロスボーダー・ファンド拠点になることを目指した競争における香港のライバルであり、このことは香港の成功にとってのOFCの重要性を強調しています。

 

ETFがストックコネクトの対象に

2016年12月に、深センと香港の両証券取引所の相互接続を可能にする深セン・香港ストック・コネクト・プログラムが始動しました。中国証券監督管理委員会(CSRC)はこのプログラムの一環として、深セン・香港ストックコネクト・プログラムが「一定期間にわたって運用され、関連する条件が満たされた」後に、上場投資信託(ETF)をその対象に含めると発表しました。このプログラムの対象としてETFが認可されれば、中国本土籍と香港籍のETFを互いの市場で販売することが可能になります。

 

運用機関にとって、こうした展開は中国の投資家にアクセスするもう1つの道を開くものです。現在はファンド相互承認プログラムが中国本土の投資家にアクセスする主な手段であり、これによって香港籍のファンドを中国本土で販売し、中国本土籍のファンドを香港で販売することが可能になっています。ETFをストックコネクトの対象とすることに関する更なる詳細は2017年前半に発表される見通しです。

 

運用機関はこれらの新たな機会を大中華圏(グレーター・チャイナ)へのより大きな関与という観点から評価するべきです。政策立案者は香港を主要なファンド拠点に発展させようとしており、香港での実体要件を考慮しなければなりません。ファンド運用機関は香港に物理的拠点を有し、そこで登録するとともに適切な免許を取得する必要があります。とはいえ、上述した2つの展開はいずれもファンド拠点としての香港の発展が大きく前進することを意味します。OFCが香港をグローバルなクロスボーダー市場と調和させる一方で、深セン・香港ストックコネクトへのETFの追加は香港籍ファンドの販売機会を拡大するでしょう。総合すると、OFCとETFストックコネクトは香港のクロスボーダー・ツールキットに新たに追加された2つの手段であり、運用機関はこれを歓迎するでしょう。

 

「OFCが香港をグローバルなクロスボーダー市場と調和させる一方で、深セン・香港ストックコネクトへのETFの追加により香港籍ファンドの販売機会が拡大するでしょう」

日本語版 2017年 Regulatory Field Guideは、こちらをクリックしてください。

This article was originally published in the 2017 Regulatory Field Guide. The guide features insights from a number of our experts on key regulatory developments that will have the greatest impact for asset managers in the year ahead – and beyond. Visit bbh.com/regulatoryfieldguide to explore the guide.

この内容はブラウン・ブラザーズ・ハリマン・アンド・コー(BBH&Co.)の作成した 2017 Regulatory Field Guideの参考として翻訳されたものです。内容については日本語のみで解釈せず、 2017 Regulatory Field Guideを原文としてご理解ください。また、本翻訳は参考訳であり、翻訳の正確性や完全性を保証するものではないことをご理解ください。