ほぼ5年間の計画策定を経て、米国の証券決済サイクルが短縮され、9月に決済サイクルはT+3からT+2に移行します。当該変更は証券預託機関(Depository Trust Company)で決済する全ての証券に影響し、株式、社債、地方債およびユニット・インベストメント・トラストが含まれます。Fedwireで決済される米国債や不動産担保証券には影響ありません。T+2への移行は米国市場を多くの主要市場、特に2015年にT+2のサイクルに移行した欧州と一致させます。

 

リスクの軽減

 

決済サイクルの短縮は、取引が決済サイクルの途中にある時点で取引相手が倒産した場合の問題を軽減します。取引相手の破たんの影響は資金や証券が受領出来なくなることから取引相手が保管する全資産の喪失まで様々です。決済サイクルの短縮は経済が逼迫した際の追加証拠金・流動性要件を軽減します。

 

市場の更なる効率化

 

T+2への移行は自動化に拍車をかけます。驚くほど多くの運用機関は時間的余裕があるため、手作業で取引処理を行っています。決済サイクルの短縮によりこのような運営は困難になるため、自動化を行うインセンティブになります。

 

自動化された指図の増加により、運用機関がカストディアンおよびブローカーと取引決済前に取引を「マッチング」できる可能性が広がります。これにより、証券を受け渡すことが出来なかった際、支払った資金を払い戻すための回収取引を省くことが出来ます。その他に改善が見込まれるのは同日の取引承認率です。同日付でマッチング出来る取引が増えることで決済の問題発生が軽減されます。T+2への移行は資金を再投資に向けて早く自由にし、運用機関は市場の動きに迅速に対応することが可能になります。

 

準備を整える

 

T+2移行に向けて運用機関は、自身のシステムが新たな決済のタイムラインに対応できるか運営手順の見直しを始める必要があります。また運用機関はブローカーおよびカストディアンと共に現在の取引承認率、キャッシュフローと資金繰りへの影響を見直すことが求められます。

 

純粋な決済の問題だけでなく、証券決済に関連する全ての取引を分析する必要があります。例えばレンディング取引を行う運用機関は、レンディング取引に関わる株式についてはリコールする期間が一日短くなるため、レンディング取引についても分析のプロセスに含める必要があります。

 

多くの運用機関が既に欧州でT+2の決済サイクルに移行したため、業界全体としてはT+2移行に対する準備は整っています。金融機関がやらなければいけない事はあるものの、多くの業界関係者はこの変化に期待しています。長期的な取引リスクの軽減と効率性の向上は短期的な業務増加を考慮しても価値あるものでしょう。

 

“驚くほど多くの運用機関は時間的余裕があるため、手作業で取引処理を行っています。決済サイクルの短縮によりこのような運営は困難になるため、自動化を行うインセンティブになります。”

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This article was originally published in the 2017 Regulatory Field Guide. The guide features insights from a number of our experts on key regulatory developments that will have the greatest impact for asset managers in the year ahead – and beyond. Visit bbh.com/regulatoryfieldguide to explore the guide.

この内容はブラウン・ブラザーズ・ハリマン・アンド・コー(BBH&Co.)の作成した 2017 Regulatory Field Guideの参考として翻訳されたものです。内容については日本語のみで解釈せず、 2017 Regulatory Field Guideを原文としてご理解ください。また、本翻訳は参考訳であり、翻訳の正確性や完全性を保証するものではないことをご理解ください。